こんにちは!白松研究室の、石塚、松本、末永、坂井、橋本です!
6月14日(火)~17日(金)にかけ開催された第36回人工知能学会全国大会に石塚、松本が発表者、末永、坂井、橋本が聴講者として参加をしてきたので、その報告をさせていただきます。石塚、松本の個々の発表報告については以下の記事を参考にしていただければと思います。
Q.BOTの介入のタイミングって固定でしょうか, それとも何か工夫する予定ですか?
A.BOTの介入タイミングについてはまだ考えられていないのが現状です. しかしBOTが発言するタイミングによっては, 議論の流れを変えたりして,
かえってBOTが介入することで議論に悪影響を与えてしまう場合も考えられます. そのため今後検討していきたいです.
コメント:ボットの介入するタイミング(関連情報を提示するタイミング)を変えることで, 結果が変わってくる可能性もあるので, 介入するタイミングを変えて比較実験を行うと良いと思います.
Q.疑似相関の可能性は低いということであったが, sblとURL数の散布図を見ると, URLを投稿しなかった1日目でもsblの値が高かったものが見られる. これは何らかの要素が影響したと考えられるが,
そこの考察についてはしたか.
A.そこの考察についてはできていないので今後していきたいと考えています. また今回用いたsblという合意案の止揚らしさの定量化手法についても,
また今後新たに検討しなおしより正確な分析が行えるようにしていきたいと考えています.
今回JSAIに参加するにあたり, 論文や発表練習のチェックしてくださった白松先生, 研究室のみなさん, 本当にありがとうございました.
今回のJSAIは発表時間15分,質疑応答5分と, 自分が今まで参加したものの中で最も長かったです. 発表時間が長く大変な部分もありましたが, 自分の研究についてより細かく聞いてもらい,
質問やアドバイスを頂けるのでとても良い機会となりました. 頂いた質問やアドバイスを参考に今後の研究にも取り組んでいきます.
今回のJSAI2022では「社会問題に関する当事者意識の向上を促す対話エージェントの試作」について発表しました。発表内容は卒業研究の内容が中心です。
ここでは、各自が気になった研究を1つずつ紹介させていただきます。
近年、深層学習の発展を背景として、人工知能による漫画や小説、音楽、イラストなどの人間の創作物の理解は自動生成といった分野の研究が盛んにおこなわれています。しかし、創作の理解や生成は高次の知的作業であり計算機としての理解は依然として困難な課題とされています。
そこでこの研究は、マルチモーダルな創作物である漫画における、画像と自然言語を結び付けて人工知能に理解させることを目的として行われています。
具体的にはVision Transformer(Vit)で漫画の画像の分散表現を、BERTで漫画のセリフの分散表現を獲得し、得られたそれぞれの分散表現をEarly FusionもしくはLate
Fusionで結合し漫画の作品識別を行っていました。また結果としてこの研究の自然言語と画像を組み合わせた提案手法がVitとBERTのそれぞれ単体の精度を上回る結果を出していました。
私を含め白松研究室では自然言語に関連する研究を行ってる人は多いですが、画像に関する研究を行ってる人はあまりいないため、画像処理に関する研究にはあまり触れる機会がなく、自然言語と画像は別のものとして考えていました。しかしこの研究では、自然言語と画像処理をうまく組み合わせてタスクを行っていて、こんなやり方もあるのかと勉強になり、非常に面白かったです。また今後この研究の様な画像と自然言語をマルチモーダルに用いた研究が発展することで、今よりも人間に近いAIが登場しそうだなと感じました。
https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2022/subject/1L5-KS-12-01/tables
このセッションは、少子高齢化の加速による独居高齢者の増加による孤独/孤立の問題と、それに対するAI技術や社会の取組による対策に関する企画セッションでした。
セッションの中では特に、地域活動へのマッチングプラットフォーム「GBER」(http://gber.jp/ )についての内容が気になりました。
GBERは高齢者を「不均一で多様性に富む労働者」であると位置づけ、柔軟な方法で地域活動や仕事などと高齢者を結びつけることで社会参画の機会を創造するプラットフォームです。
個人としては、高齢者でなくても人々には多様性があり、就労に求めることや制約も様々であるので、高齢者支援以外の分野でも役に立ちうるのではないかということも考えました。
近年のゲーム作品は、技術の進化がすごく、キャラクターのプレイできる幅の増加や、クオリティの上昇などを感じます。
この研究は、そんなキャラクターをプレイヤーがコントロールできず、キャラクターの人口AIを成長させていこうという研究です。
これまでの、NPCなどにAIを導入し学習させるゲームではなく、本来動かすはずの キャラクター自身にAIを導入し、学習させて動かさせる部分に発想の面白さを感じました。
キャラクターは最初アイテムの使い方を知らず、知識によって推測(選択)を行います。 その選択した行為を叱ったり、褒めたりすることでキャラクターに学習をさせます。 このように知識の継承システムを築きます。すると、未知のアイテムを入手したときに、今まで覚えたアイテムとの 類似度(形や色など)から計算して、行動を行います。
自分はゲームというものは、キャラクターを動かすことが当たり前と考えていました。しかし、 この研究から、自分が育てたキャラクターを途中から自動にできたりすることで、ゲームのストーリーの変化が生まれ 新たなジャンルのゲームが生まれてくるのではないかと考えています。
議論における合意形成では、成果物による評価だけでなく、メンバー間の関係性による影響も考えられるため、参加者の満足度も重要な指標となる。満足度が高い人は議論に積極的に参加できただろうと仮定し、積極性と影響度の2つに着目し主観評価を推定していた。積極性は発話量や自発的な発話の程度によってはかられ、影響度は各発話が合意結果に与えた影響であった。 「旅行サービスプランの作成」というテーマで、①自分の経験の共有②アイデアだし③提案書作成という3つのフェーズからなる対話で、実験を行ったところ、
という結果が得られた。 この実験で自分が興味を持ったのは、参加者の性格特性によって傾向が違う点を説明していた点であった。積極性の特徴量は、外向性・誠実性の傾向が高い人に対して有効な特徴量であった。参加者の性格の傾向を踏まえた議論を行うように支援を行うと、各参加者の発話量を調整したり、弱い意見の議論を深めるように工夫できる可能性があるかもしれないと思った。
石塚さんの研究はいつもゼミで見ていたが、その結果を見ることができて面白かった。止揚について、3つのモデルの説明とその結果の報告も分かりやすかった。
自分も部活に属しているため、意見の対立がよく起きる。そのときどちらかの意見を採用するか、もしくは妥協案を採用してしまいがちだ。
ネット文章の賛否を分別することが、1文では上手くいかなかったとのこと。文章全体では不可能で、1文では上手くいかないのならばどうすればいいのか、私の研究対象にもなりそうで興味がわいた。
1つ疑問に思ったことは、ジンテーゼが採用されたときに誰が指揮を執るのかだ。多数派、少数派のどちらもが納得する案ではあるが、結局のところ誰も責任を取りたがらず、指揮を出さないように思えた。
自分の研究内容を人に説明したときに「AIに自分を評価されたくない」「評価がブラックボックスになりそうで怖い」という意見を受けたことがあったので、興味があった。
研究結果として人間とAIでも変わらず、信頼性と評価に関する結果は変わらないとのこと。被験者が学生であることが結果を変えてしまうかもしれないとあったが、この実験を情報工学部内のみで行う、理系大学生のみで行うなどで実験結果がすごく変わりそうでサーベイ実験の難しさを感じた。(場面想定法の限界?)
チャットの質問で「フィードバックはそんなに負担じゃないのでは?」というものがあった。こういった意見を納得させるためにどうすればいいのかを学生が考えるのは難しそうなので、発表する際は社会人の意見を聞くことが大切になりそうだ。
今回のJSAIはオンラインとのハイブリッド開催で、松本君は現地で参加し発表を行いましたが、他の人はオンラインでの参加となりました。
オンラインでの参加は移動の手間がないなどの良い面もありますが、やはり現地でしか味わえない雰囲気や面白さがあると思います。
なので来年のJSAIには研究室のみんなでぜひ現地参加をして、実際の会場の雰囲気を味わいたいです!
最後に、私たちの発表を聞いてくださった皆さん、また質問やコメントをしてくださった皆さん、大変興味深い発表をして下さった皆さん、本当にありがとうございました。今後の研究も精一杯頑張ります。